ゲーム会社社員の英語学習日記

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「『食糧危機』をあおってはいけない」

最近環境問題に興味があるので、まず食料危機について勉強してみました。「『食糧危機』をあおってはいけない」は豊富なデータを元に世間一般で言われている「世界的な食糧危機」を滅多切りにする本です。いやーこれは面白いです。

  • 第1章「爆食中国」の幻想

Bricsが急成長することで穀物需要が急増するってホント?→ウソ。

新興国がアメリカのような食生活をするようになると牛の飼料のトウモロコシが足りなくなって大変!という話がありますが、そんなことは起こりません。まず牛の飼料に使われるのはトウモロコシではなく「大豆の絞りかす」です。その大豆はブラジルが増産しているので価格は変動しません。

さらにすべての国がアメリカのように牛肉を大量消費するわけではありません。インドはベジタリアンが多いし、イスラム圏はチキン好き、中国人は豚肉好きです。経済が発展すると牛肉消費量が増えるというのは一部先進国の思い込み(驕り)なんですね。

経済発展するにつれて食料消費量が増えるのは確かですが、後者は前者よりも早い段階でピークを迎えます。つまり経済が発展中の新興国でも食料消費量のピークは過ぎているところが多いのです。これから一方的に増える国は限られています。よって今後消費量が爆発的に増えることはありません。

  • 第2章「買い負け」で魚が食べられなくなる?

近年マグロの競りで日本が「買い負け」するようになってきました。今後魚が食べられなくなってしまうのでしょうか?→ウソ。

まず世界で魚を食べる文化はあまりありません。「寿司ブーム」は一時の流行にすぎないのです。一部で起こっている「買い負け」についても、本来の価値のわかっていない人々が高値で買っているだけで、日本の業者が買えなくなっているわけではありません。値段相応でない価格が付いているので買っていないだけなのです。よって今後日本が魚を買えなくなることはありません。

  • 第3章 21世紀、世界人口は減少に転じる

人口爆発で食料が不足する?→ウソ。

かつて新興国で人口が増えるのは農村の労働力を確保するためでした。しかし都市部が発展するにつれて、農村で働くよりも都市に出て仕事を見つけるほうがお金を稼げるようになってきたのです。そうなると子供を沢山つくるよりは、1人か2人にいい教育を受けさせたほうがお得になってきます。特に最近のアジアは教育熱心なので、子供の数はどんどん減ってきています。

一部の地域を除けば世界的に少子化が進んでおり、世界の人口増加はすでに6、7合目に来ています。21世紀中には減少を始めるので、人口増加によって食糧危機が起こることはありえません。

  • 第4章 生産量は本当に限界か?

食糧生産は限界に達した。農業用地が減少している。水が足りない、肥料が足りない。地球温暖化の悪影響。在庫率が低下している。食糧生産はこれ以上増やせない→ウソ。

この章はウソのオンパレードですね。化学肥料を使って限界まで食料生産をしている地域はごくわずかしかありません。大半の地域で大幅な増産が可能です。これらの地域では何故増産しないのでしょう?それは穀物価格が下がってしまうからです。いくらでも作れるのだけど、価格が下がると損をするのであえて制限しているのです。

都市化が進んで農業用地が減少しているという話もありますが、それは一部の都市の話です。農業用地が減っている原因は減反のためです。穀物生産量が多すぎて価格が下がりすぎるので、減反を行って農業用地を制限しているのです。食料が不足するようになれば、減反を減らすことでいくらでも増産できます。

水が足りないので食料が作れなくなる?そんなのはごく一部の地域の話です。そもそも水資源が乏しいところで無理に食料を作る必要はありません。他の地域で生産して輸入すればよいだけの話なのです。

地球温暖化で食糧生産は減る?いえむしろ増えます。暖かくなると耕作可能な土地が増えるので、生産量は増えます。

食料の在庫が近年減っている?それは流通システムが効率化されたので無駄な在庫を持たなくなっただけです。

  • 第5章 「バイオ」燃料の嘘

バイオ燃料の生産が増えるとトウモロコシ価格が上がって食糧危機になる?→ウソ。

そもそもトウモロコシを原料にしたバイオ燃料は石油に対して価格競争力がありません。2007年から2008年にかけての穀物価格の高騰はバイオ燃料のためではなく、穀物市場へ投資資金が流入したからです。アメリカのエネルギー政策によって穀物価格が上昇したのは確かですが、バイオ燃料の生産のために上昇したわけではないのです。

またトウモロコシでエタノールを作るより、ブラジルのサトウキビを原料にしたほうが安く作れます。ブラジルには耕作可能な土地が大量に余っているので、サトウキビの大幅増産が可能です。仮にバイオ燃料の需要が増えたとしても、ブラジルのサトウキビの増産が行われるだけで、トウモロコシの価格が上がることはないのです。

  • まとめ

食糧危機説はこれまで何度も唱えられてきましたが、実際に危機が起こったことはあったでしょうか?→ありません。危機説を唱える人は「食料と石油は違う」ということを理解していません。石油と違って食料は増産することが可能なのです。実際のところ世界で食糧危機を心配しているのは日本人だけです。その日本も国内では減反を続けています。食糧危機に対してもう少し冷静になったほうがいいと言う事ですね。